郷土の味

子どもの頃はおやつなど無い代わりに、大きな瓶(かめ)の中に手を入れて「こっぱもち」という郷土特有の餅をよく食べていました。作り方はさつまいもを薄く刻んで蒸して日干しにします。少し硬くなったら瓶の中に入れて程よく乾燥させて保存するわけです。子どもの頃なので自分で作ったわけではありませんが、家族の作っている様子を記憶から思い出しただけです。子どもの頃はおやつとしてのお菓子のようなものでした。

先日、東京で天草出身者の年に一度の集会があり、その場で販売している郷土の産物の中にこの「こっぱもち」がたまたまあり、懐かしさのあまり購入してしまいました。4月の下旬から仏壇に供えていましたが、本日試食してみました。ビニールの包装には熊本県観光土産コンクール入賞作品と書かれて、郷土の味・元祖こっぱもち、天草伝承と綴られていました。当然ですが、くまモンの絵も描かれていました。

どんな味がするのか食するまで興味津々でしたが、予想通り昔懐かしい味でした。仏壇の祖父母の位牌の前にしばらく供えていましたが、かつて祖父母が作ってくれた「こっぱもち」のように、今日美味しく食べている姿を仏壇越しに見て、さぞ喜んでいることだろうなと思った次第です。なかなか郷土の味に触れる機会が無いので有難く食させていただきました。残念ながら昔懐かしい干し柿や高菜などの郷土の品は見当たりませんでした。