国家主導

戦後の日本は国家主導で国内産業を牽引してきました。しかしながら、高度成長後における国の主導が無くなり、産業が歪んだ方向に進みバブル崩壊を招いたのではないかと考えます。つまり、近未来の時代の先行きを国も見通せなかったのだと思うのです。

象徴的なのが森政権時代に日本はITで世界一になると、沖縄で開催された先進国7カ国会議(サミット)で世界に豪語したにも関わらず、日本は国家主導で何も具体的に行動してきませんでした。その間、中国は国家主導で産業を後押しし、国有企業を中心に資本主義経済を伸ばしてきました。

米国も同様にスーパーハイウェイ構想の下にシリコンバレーのIT産業を後押しして、現在のGAFAMという巨大産業を生み出しました。GAFAMだけで日本の東証の1部上場の全企業の時価総額を上回ると言いますから、米国IT産業の成長力の強さは中国にも影響を与えています。

一方の日本は重厚長大産業に依存度が高く、気が付いてみると新興国重厚長大の富を奪われてしまったのです。つまり、国家が時代の変化を読めなかったのではないでしょうか。一言で申しますと、国のリーダーは優秀な人材に国家戦略を描かせて主導しなければならないと思います。

やはり国家の未来をどんな形にするのかの国家ビジョンを明確にして、国が産業を主導していかなければならないと思います。一家の主が自分の家庭を将来どのように築いていくか、そのために子どもの将来を考えて、どんな教育を施していくべきかを考えるのと同じです。

 

隣国関係

政冷経熱」という言葉を最近はあまり聴かなくなりました。旧民主党の野田政権時代に日本政府が尖閣列島の国有化を打ち出して、中国で大規模な反日運動が起きた頃の日中関係は最悪でした。71年の日中平和条約締結時に尖閣の問題は棚上げだと報じられた田中角栄元首相と周恩来元首相の会談の中身が真実かどうかは分かりませんが、未来にはこの問題も平和友好を維持する上で双方に納得のゆく形に定着させるべきだと思います。

71年後、日本と中国との経済関係は急速に拡大し、今や経済においてお互いに必要不可欠の関係となっています。しかし、政治においては西側諸国の日本と中国は政治思想も指導体制も全く違うために対立するのが現実です。政治的な関係は尖閣問題以来、互いに関係は冷え込んでいますが、経済における繋がりはお互いに長年深い関係を築いてきました。しかし、米国を中心に反中国の機運が周辺国で次第に高まってきているのが現状です。

今こそ日本外交の見せ場だと思うのですが、隣国との関係は非常に難しい局面だと言わざるを得ません。「政冷経熱」の現実を認めて、上手く日本独自の考えを示して是々非々で臨むしかないと考えます。米国と中国の間に挟まれた日本は地政学的にも欧米諸国とは違うので、中国や韓国、北朝鮮との政治的関係は今後も難しい局面が続くと思いますが、粘り強く国民レベルで関係改善に努めるしかないと考えます。

 

 

VUCAへの挑戦

これまで中国には10年くらい前から4回ほど上海をはじめ重慶成都、深圳など見聞してきましたが、中国の発展のスピードが日本と比較して如何に凄まじいかを納得させられました。19年に中国のシリコンバレーと言われる深圳の街も見学しましたが、既にBYDのEVタクシーが普通に道路を走っていました。当時、中国国内に約3千社のEV会社があると聞いていましたが、自動車産業もいずれは中国が世界シェアの大半を占めるものと予想されます。

今後、5年から10年にかけて中国はあらゆる分野で世界最大の製造王国となるのと同時に、GDP世界一の経済大国になることは間違いないような気がいたします。米国をはじめ先進7カ国が中国の成長に危機感を抱いているのも事実です。つまり①経済力②軍事力③技術力において米国を凌ぐ存在になる可能性が高いからです。欧米の資本主義経済と比べて国家ビジョンを強制的に推し進めることが政治的に可能なので経済成長が顕著です。

日本は少子高齢化が経済成長の歯止めをかけて、現状維持さえ難しくなるのがこれからの時代ではないでしょうか。残念なのは中国のように未来の国家ビジョンを政治家が責任を持って内外に示すことをしないことです。つまりビジョンがないため、あらゆる分野で国民がどの方向へ進んで行けばよいのかが明確でないのです。先行き不透明なVUCAと言われる時代だからこそ、国を挙げて攻めの姿勢で戦略を考えなければならないと思うのです。

覚悟その2

かつて大学の卒業式をある反抗心でボイコットした私が6、7年前から卒業式のひな壇で学生さんの卒業を祝福する立場となりました。しかし昨年、今年とコロナ禍により2年連続で卒業式が通常通り開催されない状況となり、今は新たに4月の新学期を迎えようとしています。

学生さんには気の毒ですが、コロナ感染予防の上で大学の授業もオンラインが習慣化している以上、やむを得ない措置かと思う次第です。ワクチンの接種も一般国民に行き渡るには、国内で造れない以上、海外からの調達に依存している限り、今年いっぱいは掛かるものと思われます。

幸いにも、日本は米国や欧州のように感染者数が爆発的に増えていないので、予防に頼る以外に感染を防ぐ手立てはありません。一部の経済にも少なからず影響しますが、生産活動を補える産業で経済を下支えしていくしかありません。

中国経済が好調なのと米国の低金利が維持されることで、我が国も一部の経済や株価の上昇などで助けられている部分があります。中国のようにコロナを収束させない限りは全体経済を底上げさせるのは難しいでしょう。

東京オリンピックパラリンピックも目前ですので、来月からの新年度のスタートを明るい気持ちで迎えたいものです。これから社会へ飛び出す若い方たちも、コロナに負けないで自分自身の力を付けて頂きたいと思います。

 

国家

英国や日本は議院内閣制ですが、世界では圧倒的に大統領制の方が多いようです。議院内閣制では首相は国会議員による間接選挙で選ばれますが、大統領制では国民の直接選挙で大統領が選ばれます。日本でも首相公選制を主張する政治家がいましたけれど、どちらが国政に適しているのかというと結論的には一長一短のような気がします。

議院内閣制において首相の任期は最長4年ですが、失政や選挙の大敗で任期の途中に辞任へ追い込まれることもあります。しかし大統領の任期は4年でも途中で辞任に追い込まれることは大スキャンダルでもない限りないように思われます。首相も再選されれば最長8年の政権となりますが、前安倍内閣のような長期政権は日本でも殆どないようです。

大統領の任期は4年で、再選されればオバマ元大統領のように8年間政権の座に就く人も少なくないようです。しかし独裁政権の国によっては、10年以上も政権の座に就いている人も見られます。国民には気の毒ですが、憲法でも変えない限り為政状態が続くことになります。ミャンマーではクーデターが起きて軍事政権が強制的に樹立されましたが、憲法に欠陥があるように思われます。

一方、ロシアや中国、北朝鮮などは一党支配で政権は変わりにくい政治構造となっています。先進国では当たり前の民主主義国家が、世界的に見るとまだまだ少数なのは残念ですし、国民が気の毒です。その点、我が国は素晴らしい日本国憲法の下に民主主義の国家運営がなされています。英国などには日本もまだ学ぶべきものがあると思われますが・・・。

がんばれニッポン!!

ITイノベーターズ会議に初めて参加しました。連日、様々なオンラインイベントにアクセスして視聴していますが、本日の会議の内容はこれまでになく大変参考になりました。コロナ禍で急速にDXへの関心が深まっています。しかし大事なことは、これからのDXは既存のシステムを使わず新しく構築する考えで進めなければならないという事です。

RPAも既存のプロセスに活用するのではなく、RPAの導入と一緒に従来の業務プロセスも変えていかなければならないという事です。日本の企業はどうしても既存のプロセスの延長戦でITツールを使おうと考えますので、折角、多額の費用をかけてITツールを導入しても業務の生産性が上がらないのです。

つまり目的と手段が逆になっているのです。大学の教育もどのような目的で学問を学び、卒業後に如何に実社会で活かしていくかを考えた上で、カリキュラムが組まれていれば社会で通用しますが、そうは思えないことを時々感じたりします。海外へ留学した学生に会ってみますと、日本の学生が学んだことの違いを感じるからです。

色んな意味で、コロナ禍を契機に世の中は世界中で急速に変わります。デジタル化に遅れた日本政府や自治体、グローバル競争にさらされる産業界は、諸外国にキャッチアップする上でもDXを強力に推進すべきだと思います。 スマートシティをつくるにもデジタル人材の育成を急がねばなりません。

就職戦線

個人的な思い過ごしかもしれませんが、ネット上で応募してくる22年卒予定の大学生に共通した志望事項を見かけます。考えるに、世間で企業サイドにハラスメントが問われている記事を多く見かけることにも影響しているのでしょうか。弊社を応募してくる学生さんが面接官の対応で会社の社風が良いところが魅力だというのです。

オンラインで企業説明などをしているため会社の実態をつかみにくいと思うのですが、数回の面接を重ねてくる中で学生さんが鋭く観察しているように私自身も感じます。コロナ禍で企業の見方まで変わってきているのか、企業情報がこれまでになく学生さんへ広がりを見せているのか応募状況を興味深く感じています。

IT企業はすそ野が広いため、目星の企業を見つけるのは並大抵ではないと思います。その中で選ばれるには何か工夫が必要なのは言うまでもありません。企業は100社100様なので、自分に合った会社を見つけるのは学生さん自身も大変です。3月解禁と言っても、実際はかなり早くから就職活動をしているようです。

コロナ禍が意外にも、これまでにない人材確保の効果をもたらしてくれるのではないかという気が密かにします。変化はチャンスだといつも言ってきましたが、就職戦線も時代を反映して少しずつ様変わりしつつあるように思われます。