新社会人の皆さんへ

国も企業も家庭も同じですが、「入るを量りて出ずるを制す」という根本的な考えが欠けている風に感じることが度々あります。日本経済も失われた30年と言われますが、不思議なのは伸びない歳入(収入)で台所がありながら、歳出(支出)は年々増大しているからです。結果的に、GDPの200%を遥かに超える世界最大の借金大国となっています。米国を始め先進国の数値は100%前後だからです。国の借金は現在1300兆円くらいだと思いますが、国民の金融資産が1800兆円あり、更に対外資産があるから国債の価格も維持されているようです。

企業でも売上以上に費用が重なれば赤字となり、借金をしなければ事業が回らなくなります。3年間赤字ならば通常は経営が成り立たなくなる可能性が大です。黒字を出さなければ赤字では借り入れを減らすこともできません。また黒字を出さなければ投資も昇給も内部留保もできません。会社は生き物ですから、赤字を出し続ける人間の身体と同じで出血多量で(死亡する)規模の大きい小さいに関わらず倒産してしまいます。

家庭でも収入に見合った生活をしなければ家計は赤字となり、遂には外部からの借金に頼ることになります。備えあれば憂いなしで、常に支出が収入を上回らないように注意し、僅かでも非常用に備蓄することが大切です。家計の管理ができない人は、もっと規模の大きい会社経営ならばさらに難しいと思います。「足るを知る」という諺がありますが、身の丈に合った生活をして、すでに十分満足であることを知っていることが人として大切な心掛けです。

 

利他の心

我が家では、もう10年以上続いている「小さな村 イタリア」というBS放送の番組を観ています。素晴らしい番組なので長く放送が続いているのだと思います。理由は村人たちが語る心に沁みるような語りがあるからです。若い人から年老いた人まで、家族の繋がりの大切さを学ばせられます。家内と私も地方の田舎育ちなので、子どもの頃の家族の様子やご近所付き合いを遠い記憶として思い出させてくれるのだと思います。

「人のために役立ちたい、働きたい」という言葉をよく耳にします。日本に居て、他人を犠牲にしてでも自分の利益ばかりを追うニュースを耳にするたびに、イタリアの番組でも観て、人間の生きる意義を少しでも参考にしたらと思うわけです。政治でも経済でも利他の心が大変重要です。私利私欲の言動はいずれ第3者の目にも映りますので、本人も決して快い生き方だと感じないと思います。

事件を犯す人も生まれたときは普通の赤ん坊だったはずですが、家庭環境や友達関係などの影響でいつの間にか悪の道に手を染めてしまうのでしょう。利他の心があればイタリアの村人のように人の役に立ちたいという人格が備わるのですが、最近の様々な事件を想うと同じ日本人として残念でなりません。しかし一企業として、これから先も松下幸之助氏のように「人をつくる」会社を目指していきたいと思います。

プロとは

今朝、電車内の広告にプロ野球ソフトバンク監督の王貞治さんの言葉として「プロはミスをしてはならない、人間だと思ってはいけない」という言葉らしきものをチラッと拝見しました。確かにプロとしてお客様からお金を戴いている以上、ミスを起こしてはならないと思います。人間だからミスはあって当たり前だという世間の見方はありますが、ミスも次第によっては大変な損害を招く場合があります。

野球でもちょっとしたミスで勝利を逃がすことがあります。ミスをしているうちは本当のプロとは言えないという事なのかもしれません。ビジネスにおいてもミスを起こしてはならないので細心の注意を払って仕事を進めるのが当たり前です。人間のすることだからミスは付きものという発想は責任回避で逃げているだけだと思うのです。ビジネスにおいてもミスをしてはならないという覚悟が必要です。

TVでも企業の経営層の方が頭を下げる場面を度々見かけますが、頭を下げることで責任は回避されるほどミスが軽いものではないという事です。日本人は熱しやすく冷めやすいと言われます。事件が起きた時はひたすら弁解しますが、また同じようなミスを繰り返すことが見られます。その世界でのプロならば謝るだけでは許されないはずです。野球界の神様のような存在の王貞治さんが言わんとしていることが何なのか、是非、一度書物を目にしてみたいと思います。

エンゲージメント

今、日本企業の人事制度が働き方改革の進展で大変重要となっています。つまり、エンゲージメントを高める人事戦略が人財を変革する上で必要とされています。在宅勤務の浸透とともに人財プラットフォームの見える化を図り効率的な評価システムを実現していかなければなりません。

これからは人財を如何に育成するかで企業間において企業経営の勝負が決まると考えています。つまり人財のトランスフォーメーションを実践して、従業員のエンゲージメントを高める人事戦略の立案が重要だと言われています。

21年度はアフターコロナにおける人財変革元年と位置付けて、企業体質の更なる強化に向けてオープンマインドでビジョンの共有を目指していきたいと思います。ウェルビーングとともにエンゲージメントを弊社の理念を礎として実現できれば幸いです。

 

産業革命

「これから自動車産業では天地がひっくり返るような変化が起きるだろう」これは先日のニュースでトヨタがパートナーを組む清華大学の欧陽明高教授から出た発言です。極めて深刻な時代が着々と接近してくるものと考えられます。トヨタの社長も近い将来100万人の失業者が自動車業界から出るだろうと話していました。正に100年に一度の産業革命が到来するようなものです。

アップルやソニーがEV車のモデルを発表していますが、彼らとすればスマホのような次世代のネットワーク端末としてEVを捉えているのだと思います。従来の自動車会社としての立ち位置は完全に無くなり、モビリティ社会を実現する会社に自動車会社も変わらなければ、将来は生き残れないという事を意味しているのかもしれません。

このような時代の変化が到来する未来に国がどの程度くらい危機感を認識しているのか疑問です。産業のすそ野の広い自動車産業が近い将来に様変わりするという事は、清華大学の欧陽明高教授の発言にも表れています。果たして日本は未来に向かって、どのような戦略で産業構造を変えるべきなのか、その解決が産業のトランスフォーメーションにあるのではないでしょうか。 

国連

民主主義は尊いものだと多くの人が感じていますが、他国を説得して政治を変えることは不可能です。「ベルリンの壁」も「プラハの春」も「アラブの春」も民衆の草の根の運動がもたらしたものです。

そこには米国を先頭に西側諸国の力の結束があったからだと思います。しかし、オバマ政権以降は国連を中心とした米国のリーダーシップが欠如し、民衆による強権政治への反動は自国内で悉く抑えられました。

ミャンマーや香港の民主化運動も、かつてならば米国や西側諸国の主導による国連が中心となって機能していたように思います。南アフリカカンボジアも然りです。しかし、現在は人権剥奪の危機への対応も国連は静観しています。

国連も先の大戦戦勝国が上部を占めているため、民主主義を貫くにも強権政治の反対勢力が常に邪魔をする構図となっています。米中が対立するこれからは、国連が大国に遠慮せずリーダーシップをとり諸問題の解決に当たる必要があると思います。

他国が他国を変えることは困難です。他国が異議を唱えても必ず内政干渉をするなという話になり、双方の外交が暗礁に乗り上げ進まなくなるだけです。それが可能なのは国連だけだと思います。有事に際して国連の機能をもっと強化する必要性があります。

 

 

サプライチェーン

最近はコロナ禍でこの言葉が良く聴かれます。日本語に訳すと「供給網」ですが、グローバル経済ではサプライチェーンという表現が普通です。トランプ前政権による米中の貿易摩擦を契機にサプライチェーンの寸断が起こり、自国生産に一部舵を切る傾向が見え始めています。

その動きは正解だと私は見ています。基幹部品はファブレス(設計のみし、製造は外部に委託)だけでなく自国でも製造しなければモノづくりのノウハウも蓄積されません。ワクチンさえ海外に依存している現状は外交上も好ましくないと思われます。

半導体も製造装置のみで自国で製造しなくなった日本は半導体も海外に依存しています。サプライチェーンの安定は望ましいのですが、危機に際しての備えも必要です。進化の激しい半導体分野においても、自国でも製造することが国防的にも重要だと思う次第です。