人材の流動化

年功序列の賃金体系がなくなり、終身雇用という旧来の日本型雇用の慣行も完全に消滅しました。しかしながら古い世代の感覚は時代が激変しているのに変化に対応していないように映ります。IT業界を長年経営していますと、この業界ほど転職者に有利な環境は他の業界には無いように考えます。つまり経営は活躍できる人材をどれだけ囲い込むことができるかに懸かります。しかし多くのIT企業では良い人材を社内で生かしきれず、往々にして手放してしまっているのが現実です。

企業が成長しないのも、できる人材が自社に残らないからです。日本企業から外資企業に人材が流れるのも外資系企業は実力を評価する賃金体系だからです。日本企業のように定年まで年功序列で勤めようと考えている人材は皆無なのです。現在、大転職時代だと言われておりメガバンクやコンサルファームでも転職者が多く、金融市場も人材の獲得競争となっています。企業も競争社会を生き抜いていくには、他社よりもできる人材を集めなければなりません。 

中小零細企業の一番の課題は人材不足です。できる人材を確保できない企業はできる人材も囲い込むことが難しいのです。つまり人事(給与)制度が今の時代に適合していないから人材も集まらないのです。今後、企業の二極化が進むと言われていますが、それは企業の付加価値による人材の格差が広がることを意味しています。日本全体で人材のバランスを考えて、如何に成長へ向けて人材を流動化させるかが重要な時代となっているのです。