計数管理

アベノミクスは異次元の金融緩和で株価を引き上げましたが、成長戦略は絵に描いた餅で円安によるデフレ経済を長引かせました。その間、諸外国との金利差が徐々に広がり、円安からの脱却が難しくなって今日の為替水準に至っています。さらにロシアによるウクライナ侵攻で国際的なエネルギー価格が上昇し、日本国内に輸入物価の上昇とともにインフレ経済をもたらしました。

企業業績はグローバル企業の為替差益による最大の稼ぎによって国内外の企業間格差は開きました。漸く国際社会での賃金格差が指摘されて、インフレに伴い国内賃金を上げていかなければ、消費も伸びずGDPも減少する一方であることに政府も気が付きました。金融緩和だけではデフレが継続するだけで株価はある程度までは上昇しますが、根本となる経済は成長しないと思われます。

日本はある意味、国内産業に優しい国であり過ぎたのだと考えます。産業構造改革を実現するには痛みを伴う金融政策が必要だったのではないでしょうか。政府による金融支援は頼り過ると寧ろ企業経営が甘くなることもあります。私自身も平成のバブル崩壊後に高金利貸し渋りに大変苦労しましたが、借入金利にも耐えうる計数管理に強い経営が必要である事を自覚させられました。